間違いしかありません.コメントにてご指摘いただければ幸いです(気が付いた点を特に断りなく頻繁に書き直していますのでご注意ください).

中点でないのに中線定理の関係式に当てはめると成立する点ができてしまう場合の三角形はどんな三角形か.

疑問

三角形 ABC において,辺 BC の中点 M を取ると,中線定理により次の関係式が成り立ちます. |AB|2+|AC|2=2(|BM|2+|AM|2)(中点 M の場合)
ここで,辺 BC 上の任意の点 P(t) に対しても同様の式が成り立つか,またその条件を確認します.変数 t は,点 P の位置を表し,B 側を 0C 側を 1 とします. |AB|2+|AC|2=2(|BP(t)|2+|AP(t)|2)(点 P(t) の場合)

前提条件

三角形 ABC を考えるにあたり,辺 BC の長さが 1 になるように拡大縮小し,それをx 軸と重なるように回転させます.この操作により,一般性は失われないと考えます.
これにより,点Aの座標のみを考えます.

座標は次のように設定します. A=(xA,yA)B=(xB,yB)=(0,0)C=(xC,yC)=(1,0)P=(xP,yP)=((xCxB)t+xB,(yCyB)t+yB)=(t,0)(t[0,1],BC)

式を変形して t の方程式を作る

次の式を考えます. |AB|2+|AC|2=2(|BP|2+|AP|2) ここで,点 P の位置を考慮すると,次のように変形できます. |AB|2+|AC|2=2{(|BC|t)2+|AP|2} ここで,次のように定義します. |a|2=|BC|2|b|2=|AC|2|c|2=|AB|2|AP|2=(xPxA)2+(yPyA)2cx=xAxBcy=yAyB
これを用いて式を変形を進めると, |c|2+|b|2=2{(|a|t)2+(xPxA)2+(yPyA)2}=2[|a|2t2+{(xCxB)t+xBxA}2+{(yCyB)t+yByA}2]=2[|a|2t2+{(xCxB)t(xAxB)}2+{(yCyB)t(yAyB)}2]=2{|a|2t2+(axtcx)2+(aytcy)2}=2{|a|2t2+ax2t22axcxt+cx2+ay2t22aycyt+cy2}=2{|a|2t2+(ax2+ay2)t22t(axcx+aycy)+(cx2+cy2)}=2(|a|2t2+|a|2t22t|a||c|cos(B)+|c|2)axcx+aycy=|a||c|cos(B)=2(2|a|2t22|a||c|cos(B)t+|c|2)=4|a|2t24|a||c|cos(B)t+2|c|2 となります.
ここで左辺を移項します. 0=4|a|2t24|a||c|cos(B)t+2|c|2|c|2|b|2=4|a|2t24|a||c|cos(B)t+|c|2|b|2=4|a|2t24|a|(s|a|)cos(B)t+(s|a|)2(r|a|)2|b|=r|a|,|c|=s|a|=4|a|2{t2scos(B)t+s2r24}=t2scos(B)t+s2r24 まずscos(B)ですが,s は辺 AB=c と辺 BC=a の比率であり,辺 BC の長さ|a|1としていますから,sは辺 AB=cの長さです.
B(0,0) で原点ですから,scos(B)は点Ax座標となります. scos(B)=xA また,rの平方を点A=(xA,yA)及び点C=(1,0)の座標から以下のようになります. r2=|b|2=(xAxC)2+(yAyC)2=(xA1)2+(yA0)2=(xA1)2+yA2 sの平方を点A=(xA,yA)及び点B=(0,0)の座標から以下のようになります. s2=|c|2=(xAxB)2+(yAyB)2=(xA0)2+(yA0)2=xA2+yA2 これらを用いて方程式の式変形を続けます. 0=t2scos(B)t+s2r24=t2xAt+(xA2+yA2){(xA1)2+yA2}4=t2xAt+xA2+yA2xA2+xA1yA24=t2xAt+xA14

二次方程式なので解の公式を用いる

解の公式を適用します. t=(xA)±(xA)24xA142=xA±xA2xA+12=xA±(xA1)22=xA±(xA1)2 この結果から,tyA に依存しないことがわかります.また,根号が外れているため,虚数解にはなりません.
この式は「中点同士の距離と等しい距離の点が中点以外にもう一つできてしまう場合の三角形はどんな三角形か.」でもでてきます.

場合分けで考える

± 以降が0の時(重解)
± 以降 (xA1)=0xA=1 これを代入してみます. t=xA+(xA1)2=1±(11)2=12(辺 BC の中点) ± がマイナスの時 t=xA(xA1)2=12 この場合,yA だけでなく xA にも依存しません.この時,点 P は次のようになります. P(t=12)=M(辺 BC の中点) ± がプラスの時 t+=xA+(xA1)2=2xA12=xA12 この式は単調増加凾数ですから,xAが増えるとt+が増え,xAが減ればとt+が減る関係です.
ここから xA を求めると, xA=2t++12=t++12 xAは具体的には,次のようになります. t+=0xA=12t+=1xA=32

まとめ

t側の解
t=12(中点)は常に成立します.
xA(12,32){1}
この範囲では,t+側の解として別の BC 上の中点でない点も関係式を満たします.したがって,成立するのはt側の 解である中点と,この「中点でない点」の2点となります.
xA=1
この場合,t+,t=12 となり,t+=t で重解となります.したがって,成立するのは t+,t=12 の重解であり,中点の1点だけとなります.この時,xA=xC であり,ABCC を直角とする直角三角形です.
xA(12,32){1}
この場合,t+ の別の点は BC 上の点とはならないため,成立するのは t側の中点の1点だけとなります.


以上から,中線定理の最初に書いた関係式がBCの中点以外でも成立する点をBC上に持つABCは,BCx軸とする座標系において点Ax座標の値が,点Cx座標を中心として前後|BC|2分の幅の間にあるときです. 「中点でない点」をBC上に持つので,関係式が成立する点の数は2つになります.ただしその範囲外もしくは,範囲内でも点Cx座標と等しい時は,関係式が成立する点の数は中点の1つだけになります.

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